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赤字決算でも融資は受けられる?銀行が「貸したい」と思う赤字企業の3つの特徴

「今期の決算が赤字だ…。これでは銀行からの追加融資は絶望的かもしれない…」

減っていく預金残高、従業員の顔、眠れない夜。息が詰まるような不安を抱える経営者のあなたに、元銀行融資担当として断言します。

佐藤 真由美

赤字決算というだけで、融資を諦めるのはまだ早いです。

私は10年間、融資担当として数字の裏にある経営者の情熱を見てきました。そして銀行が「この会社なら支援したい」と判断する赤字企業には、明確な共通点があることを見抜きました。

この記事では、私の経験のすべてを注ぎ込み、銀行が本当に見ている「3つのポイント」と、審査で使うべき「具体的な資料の作り方」を徹底解説します。

【この記事の結論】赤字決算でも銀行融資を受けるための3つのポイント

赤字決算という事実だけで、融資を諦める必要はありません。銀行は過去の数字だけでなく、「未来の返済能力」を重視します。融資審査を通過するためには、以下の3つの特徴を明確に示すことが重要です。

  • ポイント1:赤字の理由と改善策を「具体的」に説明できる
    なぜ赤字になったのかを客観的に分析し、「いつまでに、何を、どうするのか」という具体的な数値目標と行動計画を伴った「経営改善計画書」で示すことが不可欠です。
  • ポイント2:会計上は赤字でも「キャッシュフロー」が安定している
    減価償却費などにより、帳簿上は赤字でも手元の現金(キャッシュ)は増えているケースがあります。「資金繰り表」を提出し、キャッシュフローが健全で返済能力に問題がないことを証明します。
  • ポイント3:事業の将来性や独自の強みを「客観的データ」で示せる
    決算書には表れない「独自の技術力」「市場の成長性」といった強みを客観的なデータでアピールします。これにより、銀行に「この会社は将来性がある」と期待させることができます。

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目次

結論:赤字決算でも融資は可能!ただし銀行は「赤字の質」を厳しく見ている

まず、一番の不安を解消しましょう。
赤字決算であっても、融資を受けられる可能性は十分にあります。

なぜ赤字でも融資の可能性があるのか?

それは、銀行が「過去」の決算書だけで判断するのではなく、「未来」の返済能力を重視するからです。

私の持論ですが、「キャッシュは企業の血液」です。

会計上は赤字、つまり出血しているように見えても、体の中にはまだ十分に血液が巡っていて、これから先も活動できる体力(キャッシュフロー)が残っている。
銀行は、その生命力を見ているのです。

決算書という一枚の健康診断書の結果が悪くても、経営者という主治医が明確な治療方針(事業計画)を示せれば、銀行は未来の回復に賭けてくれるのです。

銀行員が最も気にするのは「経常利益」の赤字

決算書には様々な「利益」が書かれていますが、私たちが特に注目するのは「経常利益」です。

これは、企業が本業でどれだけ稼ぐ力があるかを示す、いわば「平常時の体力」です。

  売上総利益(本業の儲け)
- 販管費(人件費や家賃など)
--------------------------
= 営業利益(本業の力)
+ 営業外収益(受取利息など)
- 営業外費用(支払利息など)
--------------------------
= 経常利益(平常時の体力)
+ 特別利益(固定資産の売却益など)
- 特別損失(災害損失など)
--------------------------
= 税引前当期純利益

もし、最終的な当期純利益が赤字でも、その原因が「特別損失」、例えば工場の火災や大規模なリコールといった、一過性の事故によるものであれば話は変わります。

これは、普段は健康な人が、交通事故で一時的に入院したようなもの。
原因がハッキリしており、治療計画(再発防止策)が明確なら、私たちは「退院すればまた元気に働ける」と判断できるのです。

元銀行員が解説!融資審査で評価が分かれる「良い赤字」と「悪い赤字」

同じ「赤字」でも、融資担当者の心証は全く異なります。
私たちは、赤字を「良い赤字」「悪い赤字」に分けて見ています。

将来への投資と見なされる「良い赤字」の具体例

これは、未来の大きな黒字を生むための、意図的で前向きな赤字です。
いわば、筋肉をつけるための厳しいトレーニング期間のようなもの。

  • 事業拡大のための先行投資
    (例:新店舗の出店費用、新たな設備投資)
  • 新製品・新技術の研究開発費
    (例:将来の主力商品を生むための開発コスト)
  • 優秀な人材の採用・育成コスト
    (例:事業成長を見越した人件費の増加)

特に、創業して間もない時期の赤字は、事業を軌道に乗せるための当然のプロセスと見なされることが多いです。
明確な目的がある「良い赤字」は、経営者の未来への強い意志の表れとして、むしろ好意的に評価されることさえあります。

改善が難しいと判断される「悪い赤字」の具体例

これは、事業の構造的な問題から生じる、改善の兆しが見えない赤字です。
じわじわと体力を奪っていく、慢性病のような状態です。

  • 売上減少が続く中での構造的な赤字
    (例:市場の変化に対応できず、売上が右肩下がり)
  • コスト管理の甘さからくる赤字
    (例:どんぶり勘定で、どこから費用が漏れているか把握できていない)

特に、2期、3期と連続する赤字は、この「悪い赤字」の典型と見なされます。
経営者に当事者意識や改善能力がないと判断され、審査は極めて厳しくなります。

【実例】一過性の要因による赤字は説明次第で乗り切れる

私が融資担当だった頃、ある金属加工会社の社長が青い顔で相談に来られました。
長年の取引先が突然倒産し、多額の売掛金が回収不能になったことによる赤字でした。

決算書の数字は、最悪でした。
しかし、社長はただ嘆くのではなく、分厚い資料を持参していました。

  • なぜ、その取引先に依存していたのかという冷静な分析。
  • すぐに開拓を始めた、新規取引先のリストと交渉状況。
  • 今回の経験を元に作り直した、与信管理の新しい社内ルール。

彼の言葉は、言い訳ではなく、未来への決意に満ちていました。
私たちは、彼の経営者としての姿勢を信じ、追加融資を決定しました。
この赤字は、彼の会社をより強くするための「試練」だったのです。

銀行が「この会社なら貸したい」と思う赤字企業の3つの特徴

では、具体的に銀行は、赤字企業のどこを見て「この会社なら大丈夫だ」と判断するのでしょうか。
それは、未来を照らす「3つの光」を持っているかどうかです。

特徴1:赤字の理由と今後の改善策を「具体的」に説明できる

これは、未来への「羅針盤」を持っているか、ということです。

なぜ赤字になったのか。
その原因分析が、誰かのせいや環境のせいではなく、客観的かつ正確であること。

そして、その分析に基づき、
「いつまでに(When)」
「誰が(Who)」
「何を(What)」
「どのようにして(How)」
黒字化するのか。

佐藤 真由美

その改善計画が、夢物語ではなく、数字と行動計画に裏付けられた、リアルな物語として語れる企業は、信頼されます。

特徴2:会計上は赤字でも「キャッシュフロー」が安定している

これは、企業の「基礎体力」が残っているか、ということです。

損益計算書(P/L)は赤字でも、会社の金庫から実際に出ていくお金が少ないケースがあります。
その代表例が「減価償却費」です。

減価償却費は、高額な設備の購入代金を、何年かに分けて費用として計上する会計上のルールです。
帳簿上は費用ですが、実際に現金が出ていくわけではありません。

【簡易キャッシュフローのイメージ】

  税引後利益: ▲ 100万円(赤字)
+ 減価償却費: + 300万円(現金の支出はない)
-------------------------------------
= キャッシュフロー: + 200万円(手元の現金は増えている!)

このように、会計上は赤字でも、手元の現金(キャッシュ)が増えている会社は、「返済能力は十分にある」と評価されます。
資金繰り表を提出し、お金の流れが安定していることを示すのが極めて有効です。

特徴3:事業の将来性や独自の強みを「客観的データ」で示せる

これは、決算書には写らない「隠れた魅力」を語れるか、ということです。

決算書は、あくまで過去の成績表です。
しかし、あなたの会社の価値は、それだけではないはずです。

  • 市場の成長性:あなたの事業が、今後伸びていく市場にいることを示すデータ。
  • 競合優位性:他社には真似できない、独自の技術力やサービス、ブランド力。
  • 顧客からの評価:お客様からの感謝の声や、高いリピート率。

これらの「見えない資産」を、事業計画書や補足資料の中で、客観的なデータと共にアピールできる企業は、「この会社は将来化けるかもしれない」と銀行に期待を抱かせます。

融資審査を有利に進めるための具体的な準備【実践編】

では、銀行を説得するために、具体的に何を準備すればよいのでしょうか。
私はこれを「三種の神器」と呼んでいます。

①説得力のある「経営改善計画書」を作成する

これは、あなたの会社の「未来への設計図」です。
以下の要素を、具体的な数字と共に盛り込みましょう。

  • 赤字の原因分析:なぜ赤字になったのか、客観的な分析。
  • 具体的な改善施策:売上をどう増やすか(新商品、販路拡大など)、コストをどう削減するか(仕入先の見直し、業務効率化など)。
  • 数値目標(KPI)と行動計画:いつまでに売上を何%上げるのか、そのために誰がいつまでに何をするのか、具体的なアクションプラン。

「頑張ります」ではなく、「この計画で必ず黒字化します」と断言できるだけの、実現可能性の高い計画書が求められます。

②資金の流れを見える化する「資金繰り表」を提出する

これは、あなたの会社の「血液の流れ」を示すカルテです。

過去数ヶ月の実績と、今後1年程度の見込みをまとめ、お金の出入りを一覧にします。
これを見せることで、

「融資を受けられれば、このように資金繰りが安定し、」
「事業が軌道に乗った〇ヶ月後からは、問題なく返済を開始できます。」

と、返済能力を明確に証明することができます。
銀行員が最も安心する資料の一つです。

③会社の魅力を伝える補足資料を準備する

これは、あなたの会社の「魅力的なプロフィール帳」です。

決算書だけでは伝わらない、会社の強みをアピールできるものは、積極的に提出しましょう。

  • 事業計画書
  • 製品やサービスのパンフレット
  • メディアへの掲載実績
  • 取得している許認可証や特許
  • 顧客からの推薦状

これらの資料は、あなたの事業への情熱と、客観的な評価を伝える強力な武器になります。

【元銀行員が伝授】融資担当者との面談で評価を上げる話し方のコツ

書類が完璧でも、最後の面談で印象を損ねては元も子もありません。
面談は「審査される場」ではなく、「未来のパートナーに事業をプレゼンする場」と考えてください。

冒頭で「結論」と「赤字の理由」を簡潔に伝える

言い訳から入ってはいけません。

「今期、赤字決算となりました。主な原因は〇〇です。しかし、すでに対策として△△に着手しており、来期には黒字化できる見込みです。」

まず、赤字の事実を潔く認め、その上で客観的な原因と今後の対策を端的に話す
この誠実な姿勢が、信頼の第一歩です。

感情論ではなく「数字」と「事実」で話す

「社員一丸となって頑張ります!」
「この事業に人生を賭けています!」

その熱意は素晴らしいですが、それだけではお金は貸せません。

「経営改善計画書の5ページをご覧ください。この施策により、来月の売上は15%向上する見込みです。」

事業計画書や資金繰り表といった資料に基づき、具体的な数字を引用しながら、冷静に、しかし情熱を込めて将来性を語ることが重要です。

不利な情報も隠さず、対策とセットで開示する

銀行は、あなたの会社のことを徹底的に調べます。
後から隠していたことが発覚するのが、最も信頼を失うパターンです。

「実は、現在A社からの売掛金の回収が1ヶ月ほど遅れています。懸念点かと存じますが、すでにA社とは支払計画について合意しており、来週には半金が入金される予定です。」

このように、銀行が懸念しそうな点を先回りして伝え、それに対する具体的な対策も合わせて説明することで、経営者のリスク管理能力と透明性の高さを示すことができます。

よくある質問(FAQ)

Q: 2期連続、3期連続の赤字でも融資は不可能ですか?

A: 不可能ではありませんが、審査のハードルは格段に上がります。なぜ赤字が続いているのか、構造的な問題点をどう解決するのか、極めて説得力の高い経営改善計画が不可欠です。特に3期連続の赤字は「慢性的赤字」と見なされ、抜本的な事業改革案を示せない限り、新規融資は非常に厳しいのが実情です。

Q: 債務超過に陥っている場合でも、融資は受けられますか?

A: 債務超過は、資産より負債が多い状態であり、融資審査では極めて厳しい評価となります。しかし、事業再生計画が非常に優れており、金融機関が支援する価値があると判断した場合など、例外的なケースでは融資が実行されることもあります。専門家の支援を受けながら、再生計画を練ることが重要です。

Q: 日本政策金融公庫なら、赤字でも借りやすいというのは本当ですか?

A: はい、民間の銀行に比べて借りやすい傾向があります。日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者の支援を目的とした政府系金融機関であり、一時的な業績悪化に苦しむ企業を支えるセーフティネットとしての役割も担っています。特に「経営環境変化対応資金」などの制度は、赤字企業でも利用できる可能性がありますので、相談してみる価値は十分にあります。

Q: 融資を申し込むのに最適なタイミングはありますか?

A: 資金が完全にショートする直前ではなく、できるだけ早い段階で相談することが重要です。決算が赤字になったら、その原因を分析し、改善計画を立てた上で、早めに金融機関の担当者に状況を説明しに行くのが理想です。早めの相談は、経営者の計画性や誠実さを示すことにも繋がります。

Q: 融資以外に、赤字の時に使える資金調達方法はありますか?

A: はい、いくつか選択肢があります。売掛債権を売却して資金化する「ファクタリング」、不動産などを担保に入れる「不動産担保ローン」、国や自治体の「補助金・助成金」の活用などが考えられます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に合わせて検討することが大切です。

まとめ

赤字決算。
それは、経営者にとって大きな試練です。
しかし、決して事業の終わりを意味するものではありません。

重要なのは、赤字という事実から目を背けず、その原因を徹底的に分析し、未来に向けた具体的な改善ストーリーを描き、それを銀行に真摯に伝えることです。

佐藤 真由美

今回ご紹介した「銀行が貸したいと思う3つの特徴」は、まさにそのストーリーを構成する核となります。

  1. 赤字の理由と改善策を「具体的」に説明できる(未来への羅針盤)
  2. 会計上は赤字でも「キャッシュフロー」が安定している(企業の基礎体力)
  3. 事業の将来性や独自の強みを「客観的データ」で示せる(隠れた魅力)

この記事を手に、もう一度、自社の強みと将来性を再確認してください。
そして、自信を持って銀行との対話に臨んでください。

赤字という嵐を乗り越えた先には、より強く、しなやかな経営基盤が築かれているはずです。

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この記事を書いた人

はじめまして。「資金繰りベスト」ライターの佐藤真由美と申します。埼玉県さいたま市在住の45歳、中小企業の資金繰りと経営管理を専門とするファイナンシャルアドバイザー兼ライターです。

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